278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:02:09.46 ID:uGmCIsyTo
―――――――――――――――――学校
ナギ「るん、トオル、おはよー」
るん「あ、ナギちゃん!おはよ~」
トオル「…おはよう」フラ
ナギ「ん?」
「何か今日トオル顔色悪くないか?」
トオル「…別に」
るん「昨日、夜更かししちゃったんだって~」
「トオルにしては珍しいよねぇ~」
ナギ「本当だな」
るん「あれ?そういえばユー子ちゃんは?」
ナギ「あぁ、あいつは…」
ユー子「もう、酷いやんか!ナギぃ!」ゼィゼィ
「置いてかんといてよ!もう!」
トオル「…鬼頭先生の」
ナギ「そういうこと」
279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:09:33.08 ID:uGmCIsyTo
ユー子「…あの先生いつも元気すぎるて…」
るん「本当だよね~」
ナギ「…良い先生なんだけどなー」
「実家では」
トオル「…」
ユー子「あのあふれ出る元気さを誰かが少しでも抑えてくれればいいんやけどなぁ」
ナギ「ホントホント」
「そうしたら、もっと生徒からの人気も出るはずなのに」
るん「…!」
「そっかぁ、そうだよね!」
トオル「!」ハッ
ナギ「なんだよるん、いきなりそっかあ!なんて」
るん「ふふ、元気を抑えるのは先生のためになるんだもんね~」
「私に任せんむぐ」
トオル「…!」ググ…
ユー子「トオル何しとるん!?るんの口押さえて!」
280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:13:00.18 ID:uGmCIsyTo
トオル「だめ…るんちゃん…!」
ナギ「おいおい、何がダメなんだよ」
トオル「だめなものは…だめ…!」
るん「ぷはー…もー、びっくりしたよ、トオル」
トオル「…だめ、るんちゃん…」
「そういうことをしちゃダメだよ、先生に」
ユー子「そういうこと?」
ナギ「そういうことっていったいなんだよ」
るん「えっとね、つまりセんくむっ」
トオル「…!!…!!!」ググググ
ユー子「ちょ、ちょっと!トオル!」
「トオルがるんに向ける手とは思えんほどの力を込めとるで!?」
ナギ「…」
(い、いったい何なんだよ…)
281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:16:17.39 ID:uGmCIsyTo
―――――――――――――――――昼休み
るん「じゃあ私たちお手洗いに行ってくるね~」
トオル「…」
ナギ「おー」
ユー子「行ってらっしゃい」
ナギ「なぁ、ユー子」
ユー子「ん?どしたん?」
ナギ「さっきの事、なんか気にならないか?」
ユー子「さっきのって?」
ナギ「だから、あの、朝の…」
「るんが何か話そうとするたびに、トオルが口押さえてたろ?」
ユー子「あ、あぁ、そういえばそんなことあったなぁ!」
ナギ「あの時のトオルの顔、珍しく焦ってるというか、何かを恐れてるというか」
「そんな感じが、見え見えじゃなかったか?」
ユー子「確かになぁ」
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:21:23.95 ID:uGmCIsyTo
ナギ「…絶対何か隠してるよな」
ユー子「そうかもしれへん」
「…一体何を隠しとるんやろ」
ナギ「私らにすら知られたくない何かなんだろ?」
ユー子「まぁ、せやろなぁ」
「…でも、トオルは知っとるみたいやし」
ナギ「後でトオルに聞いてみようか」
ユー子「教えてくれるんやろか…?」
ナギ「まぁ、一かばちかって、奴だろ」
ユー子「…そやな」
「わからんままやと、きっとすっきりせぇへんもんな」
ナギ「よし、じゃあとりあえず放課後に聞いてみるとしよう」
ユー子「…わかった」
るん「二人ともおまたせ~」
トオル「ただいま」
ナギ「お、戻ってきたか、おかえりー」
283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:23:59.12 ID:uGmCIsyTo
―――――――――――――――放課後
トオル「…」
ナギ「おい、トオル」
トオル「…何?」
ナギ「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど」
ユー子「少し良い?」
トオル「…うん」
トオル「で、何を聞きたいの?」
ナギ「いや、あのさぁ…」
「まぁ、大したことじゃないんだけど」チラ
ユー子「…!」
「え、えっとなぁ、別に教えたくないんなら、ええんやけどな…」チラ
ナギ「…ぅっ」
「えーっと…」
トオル「いいから、話してみてよ」
284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:29:16.67 ID:uGmCIsyTo
ナギ「今朝の、ことなんだけど」
トオル「…!」
ユー子「何でトオル、あんなにるんの口をおさえてたんかな思て…」
「トオルなら、るんに対してああいうことあんまりせぇへんやろ…?」
トオル「…そ、それは」
「…」
トオル「…い、言えない」
ナギ「…そっか」
ユー子「そんなにしゃべったら、あかんことやの…?」
トオル「…うん」
ナギ「…少しだけでも、いいからさ」
トオル「…」
285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:35:27.21 ID:uGmCIsyTo
トオル「…」
「分かった、少しだけね」
ユー子「ホンマ?」
トオル「…うん、ほんの少しだけ」
ナギ「ほんの少しだけでも十分だよ」
「…で、いったい…」
トオル「るんちゃんね」
トオル「…凄いんだ」
ナギ「…はぁ?」
ユー子「すごい?」
トオル「うん」
「アブナイくらいに」
ナギ「すごくて、危ない」
ユー子「…あのマイペースさが?」
ナギ「あぁ、そういえば前蝶を追っかけて車にひかれそうになったとか言ってたな」
トオル「…違うよ」
286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:42:05.06 ID:uGmCIsyTo
トオル「…技術が、だよ」
ユー子「…技術?」
ナギ「…リンゴの皮むきとか、あの人形…とかか?」
トオル「それはちょっと近いかもね」
トオル「まぁ、でも、とにかく」
「一度、タガが外れちゃうと」
トオル「るんちゃんは、危ないから」
ナギ「…さっきから、いったい何を」
トオル「るんちゃんが、今朝、鬼頭先生の元気を抑えるって言ってたでしょ」
ユー子「あぁ、うん…そやね」
トオル「たぶん、それは、今話している「技術」を使うつもりだったんだと思う」
ユー子「…よ、ようわからへん」
ナギ「で、でも、トオルはそれをさせないようにした」
「それはなんでなんだよ」
287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:46:35.36 ID:uGmCIsyTo
ユー子「そ、そや」
「鬼頭先生の元気が抑えられるんなら、その技術を使ってもええんやないの?」
トオル「…ダメだよ」
トオル「その技術を使うと」
トオル「鬼頭先生は」
トオル「もう、学校には来られないはずだから」
ナギ「えっ…」
ユー子「ひっ…」ゾクゥ
トオル「…はず、なだけで」
「もしかしたら、鬼頭先生も大丈夫かもしれないけれど」
ナギ「…も、ってことは」
「ほかに、その技術とやらを使われても大丈夫なヤツがいるってことだよな」
トオル「…」
トオル「うん」
「私の事だよ」
288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:52:51.17 ID:uGmCIsyTo
ナギ「えっ…そ、そうなのか?」
トオル「私は、るんちゃんの技術に耐えられる」
トオル「…だから、今ここにいるんだよ」
ユー子「…」
ナギ「…お、おい、トオル…大げさじゃないのか、それ」
トオル「…」
「気を付けてね」
トオル「私がいる間は、るんちゃんは大丈夫だと思うけど」
「―――二人きりになったら、わからないから」
289: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/12(火) 23:57:53.09 ID:uGmCIsyTo
―――――――――――ナギ自宅
ナギ「なぁ、ユー子」
「お前は今日の話、どう思う?」
ユー子『…今日のって、トオルが言ってた話…?』
ナギ「そうそう」
「その、技術の話とか、それに耐えられてなかったら、トオルが学校に来ていなかったとか」
ナギ「それって、真面目な話だと思うか?」
ユー子『…分からん』
『その技術ってのが、なんなのかもようわからんし』
ユー子『でも、トオルの話し方、真剣やなかった…?』
『もとから冗談とか好んで言う子ちゃうし…』
ナギ「…それもそうだよなぁ」
「トオルがあんな真面目な顔で、嘘をつくなんて…」
ナギ「…なさそうだよなぁ」
ユー子『…もし、本当やとしたら』
『この話はもうやめにしといたほうがええんとちゃうん…?』
290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 00:02:57.08 ID:33IB30Cuo
ナギ「それって、もしかしたら」
「私らが学校に行けなくなっちゃうかもしれないからか?」
ユー子『…うん』
ナギ「…学校に行けなくなるって」
「さすがにその辺はさ、言い過ぎなんじゃないか」
ナギ「私らを怖がらせようとしたとかさ」
ユー子『そうなんかな…』
ユー子『でもまぁ、話するのがあんまり好ましくなかったみたいやし』
『これ以上トオルに聞いたりするのはやめよ?』
ナギ「あぁ、それはそうだな」
ユー子『うん…』
『そんじゃあ、ウチそろそろ…』
ナギ「あ、もうこんな時間か」
「…そうだな、そろそろ寝た方がいいかも」
ユー子『うん、じゃあ、おやすみ、ナギ』
ナギ「あぁ、おやすみー」
…パタム
291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 00:06:45.14 ID:33IB30Cuo
ナギ「…っていってもなぁ」
ナギ(なんかまだ、もやもやするよなぁ)
ナギ(これ以上詮索しないほうが、良いんだろうけど)
ナギ(学校に行けなくさせる…かもしれないほどの、技術)
ナギ(…気になっちゃうよなぁ)
ナギ(…)
(次の休み…)
ナギ(るんを誘って、ちょっと聞きだしてみるか)
ナギ(悪いユー子、抜け駆けさせてもらうよ)
(続く)
295: ◆kki2TKFLsM 2013/02/13(水) 22:40:29.67 ID:33IB30Cuo
―――――――――――――休日
ナギ「…」
るん「あっ、ナギちゃーん!お待たせ―」
ナギ「お、るん、来たか」
るん「めずらしいね~、私だけ誘うなんて」
ナギ「ま、たまにはな」
るん「それで、今日は何処に行くの~?」
ナギ「それなんだけどさ、ココの近くで前昼食べたんだけど」
「それがめちゃくちゃ美味くてさ」
ナギ「だからよかったらそこに行かないか?」
るん「おぉ~!いいですね~」
「ちょうどお腹空いてたんだ!行こう行こう!」
ナギ「じゃあ決まりだな」
296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 22:47:59.65 ID:33IB30Cuo
ナギ「お、あったあった」「ここなんだ」
るん「…ここって、喫茶店?」
ナギ「そう、そうなんだけど」
「ランチメニューがかなり美味くてさ」
るん「そうなんだ~!楽しみ!」
ナギ「…」
るん「ねぇ、何がおいしかったの?」
ナギ「え?ああ、それは、このランチメニューのA」
るん「ナポリタンにパフェ…コーヒーとトーストがついてるんだ」
ナギ「そう。で、ジャムもこの中から選べるんだよ」
るん「おぉ…いろんな種類のがあるね」
ナギ「たしかアプリコットだったかな、うまかったのは」
るん「…何回か来たことあるの?」
なぎ「あ、それは、家族が他のジャム頼んだからさ」
「それを食べさせてもらっただけ」
ナギ「来たのは今回で2回目だ」
297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 22:50:53.30 ID:33IB30Cuo
るん「そっかそっかぁ!」
ナギ「あぁ」
「…じゃあ、注文良いか?」
るん「うん!私ランチメニューのAで、アプリコットにする!」
ナギ「分かった」
「すいませーん」
――――――――――――――――
るん「…はむ」
「ん!おいひぃ!これおいひぃよ!」
ナギ「飲み込んでから話せよ」
るん「…ん」
「おいしいねぇ、本当に」
ナギ「だろ?」
「ここのベタだけど、病み付きになる味が忘れられなくてさ」
るん「うん!私もう病み付きになっちゃいそうだよ~」
ナギ「気に入ってもらって良かったよ」
298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 22:53:56.53 ID:33IB30Cuo
るん「はむ」
「ここおはったぁ、つぃどほいふ?」
ナギ「次どこ行く、か?」
るん「んくっ」
「せいか~い!」
ナギ「…」
「それなんだけどさ」
ナギ「今日、るんを呼んだのって」
「…ちょっと聞きたいことがあったからでさ」
るん「聞きたいこと?」
ナギ「あぁ…まぁ、ちょっと気になるだけだからさ」
「別に答えたくなかったら答えないでもいいくらいの質問なんだけど」
るん「うんっ、なになに~?」
ナギ「…えーっと、あのさ」
ナギ「前、るんが鬼頭先生の元気を抑えるために」
ナギ「何かしようとしてたよな」
ナギ「あれって、いったい何なんだ?」
299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 22:57:26.34 ID:33IB30Cuo
――――――――――――――――――――――――――――――――
私が、先日から気になっていたことを
るんに直接質問した
その時、るんを取り巻く空気が変わったことに気付いた。
ほんの少し、ほんの少しだけど、その笑顔の裏に、何か
…何か、恐ろしいものが隠されている気がした。
るん「あぁ、あれねー」
るん「うーん、たいしたことじゃないよ?」
ナギ「そうなのか?」
るん「うん、トオルには結構やってることだし」
ナギ「…ふーん」
そういえばトオル、私は耐えられるとか何とかって言ってたな。
耐えられるとか耐えられないとか、そういうものを
トオルとるんは「結構やってる」って、どういうことなんだろう。
300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:02:02.52 ID:33IB30Cuo
るん「…」
るん「気になる?」
るんは、先ほどの裏のあるような顔ではなく
いつもの純粋な笑顔を向けてきた。
るんとトオルとのひそひそ話が気になった私に、ちょっと悪戯っぽく問いかけるような
そんな感じだ。
ナギ「…まぁ、さっきも言ったけど」
「ちょっとは、気になるよ」
るん「ふぅん?」
るん「じゃあ、教えてあげよっか?」
ナギ「ほんとか?」
るん「うん、もちろん!」
「でも、ここではできないことなんだ~」
ナギ「そうなのか?」
るん「できないこともないかもしれないけど、普通ならしないかな?」
なかなか回りくどい言い方だな。るんにしては珍しいような気もする。
301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:07:28.48 ID:33IB30Cuo
るん「と、言うわけで~」
「私の家に来ない?」
ナギ「え?るんの家?」
家ですることなのか。
…家で、二人きりですること…。
…普通なら、喫茶店ではしないこと…。
この時、少なからず私の中には
何だかヤバイ気がする、という感覚があったのだ。
しかし、それを無視してしまった。
るん「そうだよ~、なんならナギちゃんちでも良いけど」
ナギ「あー…今日ウチはお兄…じゃなくて兄貴がいるんだけど」
るん「なら駄目だね~」
「やっぱり私の家においでよ!」
ナギ「…あぁ、わかった」
「お邪魔するよ」
302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:19:32.32 ID:33IB30Cuo
ランチを終えた私は
るんにつれられるがまま、家へと向かった。
るんの家に来るのも久しぶりだな、なんて呑気なことを考えながら
歩を進めていったのだが
さっき感じた裏以上に、妙なことに気が付いた。
るんの言葉数が極端に減ったのだ。
その顔も、笑顔であるのに、いつものような純真さが無い。
…なんというか、少しだけ、恐怖を、いや…狂気を感じた。
いつの間にか、目の前にはるんの家があった。
るん「到着だよ!ナギちゃん、あがってあがって!」
ナギ「あ、あぁ、お邪魔します」
ここまで来たからには引き下がれないよなぁ
と心の中で苦笑いしたが
一方で、そんな大したことじゃないだろうと
たかをくくっていた。
303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:23:56.33 ID:33IB30Cuo
るんの部屋にいざなわれた私は
何も考えずにベッドの縁に座った。
るんも、隣に座った。
ただ、身体はとても近くて、縁に置いた手に、
力を抜いた手の指が重なるくらいには近かった。
ナギ「…」
「ちょ、ちょっと近くないか」
るん「え?そうかなー?」
あ、なんだ
いつものるんだ。
笑顔と言い、言い方と言い、間違いなく、いつものるん。
さっき感じた狂気も、なかったかのようだ。
と、力を緩めたとき
太ももに、何かが滑り込んでくる感触があった
304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:27:50.25 ID:33IB30Cuo
ナギ「っっぃ…!!」ビクッ
私は、反射的に体をひいた。
その感触の原因を冷静に見てみると
それは間違いなくるんの指だった。
ナギ「な、なにすんだよ!いきなりっ!」
るん「えへへ~、びっくりした?」
笑って、おどけるるん。
このまま、手が離されるかと思ったのだが
ナギ「…っ!こ、こら、やめろって!」
離されるどころか、指は内ももに円を描き始める。
るん「くすぐったい?」
ナギ「くすぐったいに決まってるだろ!」
るん「えへへ、そっか」
「でも、大丈夫だよ!
305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/13(水) 23:32:29.66 ID:33IB30Cuo
「すぐに、きもちよくなるから」
ふんわりとした優しい口調。
包み込むようなるんの優しさが、表れていると思う。
そんな口調で、ささやかれた私は
なぜだろうか、さっきまでくすぐったいだけであったのに
身体の芯が揺れ動くような、そんな感覚に見舞われ始めた。
ナギ「…っ、は、やめろっ!」
しかし、はっと我に返った私は
そのるんの手を手ではじいた。
るん「おぉ!…びっくりした」
「もぉ、駄目だよ、ナギちゃん」
ナギ「だめって、それ…お前の方がダメだろ!」
「人の事いきなり触り始めてさ…」
るん「え?でも」
「ナギちゃんがさっき教えてって言ったことを教えているだけだよ?」
309: 落ちやがって ◆kki2TKFLsM 2013/02/16(土) 21:42:14.56 ID:f8pPY60ho
ナギ「教えているだけだよって…っ!」
あまりにいつも通りのテンションで言う、るん。
その行為と、言動のギャップに鳥肌が立つ。
ナギ「まさかお前、こんな風にして鬼頭先生を」
るん「こんな風にしてって、もう、ナギちゃんってば」
「まだ始まってもいないのに」
るんはそう言うと、私の内ももにまた手を伸ばし始めた。
ナギ「や、やめろっ…!」
私は再び、その手をはらおうとしたが
るんのもう片方の手が、器用に私の手の動きを封じた。
振りほどこうとするが、るんの力は意外に強い。
それとも、私の力が入らないのか、弱いのか…
そんなことは、今ここでは全く問題ではないのだが。
るん「大丈夫、大丈夫だよ~ナギちゃん」
るんの手が、指が、私の内ももを這う。
310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:49:15.28 ID:f8pPY60ho
ナギ「うっ…わぁ…!」
他人に触られるのは、考えていたよりもくすぐったかった。
というか、少し触られるだけで体がびくりと反応する。
ナギ「やめ、こら…本当に怒るぞっ…!!」
るん「ん~?」
「でもな~もう始めちゃったから…止められないかな」
るんは私の内ももを手で包み込むように、揉み始める。
瞬間、私の身体の内側が、じわじわと震え始めた。
ナギ「あぐ…っ…くぅ…」
るん「お~ナギちゃんは結構敏感だね」
ナギ「…や、やめろよ…っ」
段々と鼓動が早まっていく。
親しい友人に、こんな風に触られているという悲しみ
これからどうなってしまうのかという恐怖
それのせいでドキドキしているんだ、と、私は必至で自分に暗示をかける。
ナギ「…くぁっ…」
311: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:58:50.47 ID:f8pPY60ho
るん「…ふふふ~、きもちいいでしょ?」
ナギ「きっ…きもちよくないっ…!」
るん「だよね~」
「最初にやるときは、皆そう言うんだよ」
るん「でも、すぐ正直になるの」
「ナギちゃんは、あっという間かな」
いつものニコニコとした顔で、私に言う。
だが少なくとも、天然で、ふわふわとしていて、それでいて優しいいつものるんの笑顔ではなく
私の知らない、私がこんなことを言わなければ知ることもなかったであろう笑顔。
その明るさは、むしろ私の中の恐怖を増長させた。
ナギ「も、もうやめてくれぇ…!」
るん「だぁめ」
るんは、内ももをさする手を離すと
今度は胸に伸ばしていく。
ナギ「ひっ…!」
312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:05:47.02 ID:f8pPY60ho
手が触れると、私の身体は大きめに震えた。
ナギ「うっ…!や、やめ」
るん「おぉ~、結構ナギちゃんもあるねぇ」
「柔らかいよ~」
るんは、私の胸を軽く触ったり、揉んだりを繰り返す。
ナギ「あっ…ひ…ぁぁ…!」
るん「ふふふ…気持ちいいでしょ」
「自分でするよりも、ずーっと」
ナギ「そんなことな…はぁぁ…!」
これは、きもちいいからではなくて
怖くて、恐ろしいからで、きっと拒否反応の一種なんだ。
間違いなく、これは、拒否反応の…
るん「ふふ」
るんが小さく、笑った。
その次の瞬間に訪れた、胸の頂点に対する刺激を一瞬だけ感じたのを最後に
私の思考は停止した
313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:11:18.14 ID:f8pPY60ho
―――――――――――――――――――――――
ナギ「ぁっ…ぁぁ…!!」
るんは、ナギの胸の頂点をつまみ上げた。
瞬間ナギは、体を大きく反らす。
るん「やっぱりここは気持ちいいんだよねぇ」
つまんだまま、るんは指を擦るように動かす。
ナギ「…ひ…ぅぁ…!!」
それに反応するように、体をよじらせるナギ。
るん「えへへ…でも直接やるともっと気持ちいいよぉ?」
るんはナギの両腕を抑えていた手をはなし
服の中に滑り込ませた。
ナギ「うわぁっ…!」
先ほどよりも直接伝わる刺激に、ナギは声で応える。
るん「え~い…!」
ナギ「あ、あぁ…あっ!」
314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:17:57.05 ID:f8pPY60ho
ほどかれた手が、なんとかるんを押し返そうとするが
力の入っていないそれは、るんにとっては無意味だった。
ナギ「ふぁ…ぁぁっ」
るん「硬くなってるよ、ナギちゃん」
きゅう、と両方の胸の頂点をつまみ、擦っていく。
ナギ「ぁ、ぁぁぁぁ…ぁぁ」
いままで感じたことの無いような感覚に、悲鳴のような声を上げる。
るん「やっぱり感じやすいんだね」
「最初にあった時から、そうかな~って思ってたよ」
独り言のようなものをつぶやきながら、るんは刺激を強めていく。
ナギ「や、やめぇ…やめてぇ…!!」
何度も懇願するが、その声はむしろるんの心を奮わせる。
るんは手早くナギが着ている服をめくると、胸に唇を落とした。
るん「…はん…んん」
ナギ「はぁぁ…っ!!…ひっ…!」
わざとらしく音を立てながら、胸に吸い付き、舌でなめあげる。
315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:24:35.08 ID:f8pPY60ho
るん「…んふふ~」
にこにことしながら、胸から耳へと舌を這わせていく。
そんな行為に、ナギの身体は震えた。
ナギ「あぁ、あぁー…ぁ」
るん「みみは、よはいへほ…?」
ナギ「や、くぁ…っ!ぁぁっ」
手は胸を刺激し、舌は耳を刺激する。
その手つきも、舌遣いも、ナギに確実に快感を与えていた。
るん「ん~…ふぁ」
唇をゆっくりと離すと、今度は胸においていた手を
段々と下へ這わせていく。
ナギ「そ、そっちは…そっちはぁ…!!」
るん「ナギちゃん、大丈夫、私に任せてみて?」
るんはそれ以上下へ行かせまいとするナギの手をはらって
ゆっくりと、下着の間に手を滑り込ませる。
316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:32:22.35 ID:f8pPY60ho
ナギ「あぁっ…!」
くちゅ、と生々しい水音が立てられる。
るん「もうびしょびしょだね」
るんは手慣れた風に、スカートや下着をずらす。
るん「ナギちゃん下着可愛い」
「汚れたら、大変だもんね」
ナギの耳元で小さくささやき、ほほにキスを落とす。
下着をずらした手は、そのままナギの割れ目を擦っていく。
ナギ「ひ…ゃっ…だめ…ぁぁぁ」
口から洩れる声は、なまめかしさを帯びていて
先ほどのような、拒否感すら感じられない。
るん「柔らかくて、ふにふにだね」
るんは、指で割れ目をなぞったり、周囲に指を這わせたり
あるいは、軽く沈めたりと、緩急をつけながら責めていく。
そのたびに、ナギは小刻みに体を震わせる。
317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:39:50.87 ID:f8pPY60ho
ナギ「ぁー…ぁぁ…ぃっ…ぃ」
しばらく、責め続けたるんは、その動きをいったん止めると
指を深みへと滑らせるように、動かしていく。
るん「うん、いけるね」
「ナギちゃんも、一人でやってるのかな」
ナギ「は…ぅぅ…!」
ナギは侵入してくる、外部からの感覚に
身体を強張らせる。
るん「ふふ、ナギちゃん、力抜いて」
「もっと気持ちよくなるよ」
ナギ「はー…はーっ…」
るんは、片方の指をゆっくりと沈めていく一方で
ナギの頭を軽く撫で、緊張をほぐしていく。
それもあってか、ナギの身体の緊張はだんだんと緩んでいき
徐々に身体の芯が、直接刺激されているような、
これまでに感じたことのない快感に襲われる。
318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:46:51.61 ID:f8pPY60ho
るん「そう、そうだよ」
「ナギちゃんは上手だね」
ナギの唇に、軽くキスをすると、
片方の手はナギの頭を撫でたまま
もう片方の指で内側を擦り始める。
ナギ「は、はっ…い…はぁっ…!」
ナギの腰が引けてしまうが、それに合わせるようにるんも指をずらす。
上や下を、指を器用に動かしながら
時には軽く爪を立てながら、刺激する。
ナギ「…ぅっ、い…ぃ…ふぁ」
上気したナギの顔は緩み、瞳には涙を浮かべた。
口はだらしなくひらき、涎を垂らしている。
るんは、軽く微笑むと、耳に顔を近づけ
るん「…すっごく可愛い、ナギちゃん」
と、ささやく。
それに反応したのか、るんの指は軽く締め付けられた。
319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:55:29.04 ID:f8pPY60ho
ナギ「はーっ、はぁっ…ふぁあ…!」
るんは、だんだんと指を動かすスピードを速めていく。
人差し指は、入り口の近くを刺激し、中指は奥を
親指は、ナギの陰核を的確に責め立てていく。
ナギ「だめっ…!そ、それは…!やめ…ぁああ…!!」
ナギは、体をよじらせるが、先ほど頭を撫でていたほうの手を腰に回し
逃げられないように拘束する。
ナギ「こわ…いっ…!るん…やめて…やめてぇっ…!!」
るん「大丈夫、その気持ちに、身をゆだねるんだよ」
指の動きはさらに早まり、それに比例して、淫靡な水音の大きさも増していく。
ナギ「ふァア…!!」
「だめ……くぁぁぁ…!!!んむっ!」
るんは、ナギの唇を自らのそれでふさぎ、
口内へと舌を侵入させ、ナギの舌に絡ませていく。
るん「ぁん…ふぅ…」
ナギ「ぁ、ぁぇ…!!んァ…ェううぅ…」
320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:02:50.54 ID:f8pPY60ho
舌を絡ませながらも、舌への刺激は止めない。
もうナギの頭の中は、次から次へと訪れる快感によってごちゃごちゃになってしまっていた。
ナギ「は、ひぃ…ふぁ…いふ…!!いふゥ…!!」
るん「いっへ…はん…いっへいいぉ…」
ナギの快感が絶頂に達してしまいそうになったのを知ったるんは
より激しく舌を絡め、より強く秘部を刺激した。
ナギ「は、はァ…ふぁぁァ…!!」
絶頂の直前で、るんは唇をはなし、ナギの中に侵入していた指をぐ、と押し付ける。
ナギ「ぃ、っく…ゥ…!!」
「く…~~~~~~ッッッッ…!!!」
ナギが声にならない悲鳴を上げたかと思うと
身体が上下に大きく2、3度跳ねあがった。
ナギ「―――――ッ!―――――っっ…!!」
るんは、ナギの身体の動きがおとなしくなってくるのを見計らって
指をゆっくりと引き抜いた。
その時にも、ナギの身体は跳ね上がってしまっていた。
321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:08:05.52 ID:f8pPY60ho
ナギ「…ひ…ひっ…ひぃ…!!」
るん「…んー…」
上手く息を吸うことができないでいるナギに、るんは口づけし、
背中をぽんぽんと軽くたたく。
ナギ「…っ」
「ふ、ふー…」
るん「はん…ぷァ…」
「…えへへ」
ナギの呼吸はだんだんと落ち着いてきて、体の震えも、小さくなっていく。
るん「…ナギちゃんがイクとき、綺麗だったな」
ナギ「…ゃ…ゃめろ…」
「…んなこと…いう…な」
言葉が何とか紡がれたが
その意識ははっきりとはしない。まだ、頭の中は快楽で満たされている。
るん「でも、私が言った通り気持ちよかったでしょ?」
ナギ「…は…ふ…」
ナギ「…ぅ…ぅん」
322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:09:47.81 ID:f8pPY60ho
るん「…もっと、してほしい?」
ナギ「…」
るんは、優しく問いかける。
ナギは、その問いに、しばらくの間をおいてから
小さくうなずいた。
るん「うん、正直が一番だよ」
るん「まだまだ、たっくさん、きもちよくしてあげるからね」
323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:15:23.22 ID:f8pPY60ho
――――――――――――2日後、学校
ナギ「トオル、ユー子おはよう」
トオル「あ…ナギ」
「おはよう」
ユー子「おはようさん」
「昨日は休んでたけど…具合でも悪かったん?」
ナギ「まぁ、そんなトコ」
トオル「…ダイエットのしすぎじゃないの」
ユー子「無理はあかんて、言うたやん」
ナギ「悪い悪い」
「…」
「あっ」
ナギ「っ」ビク
るん「ナギちゃん、おはよぉ」
ナギ「…」
「おはよう、るん」
324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:21:14.33 ID:f8pPY60ho
ユー子「鎌手先生なんて?」
るん「あぁ、うん、このプリントもってって~だって」
ユー子「あ、そうだったん」
トオル「手伝うよ、るんちゃん」
るん「あ、ありがと~トオル!」
ユー子「うちにも分けて?」
るん「ユー子ちゃんもありがとう」
るん「ナギちゃんも、持ってくれる?」
ナギ「…へっ」
「あ、う、うん…」
ナギに分けられた、プリントの間には
それらとは異なる紙が、挟まっていた。
ナギは、それを抜き取り、ポケットに入れる。
325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 23:25:51.60 ID:f8pPY60ho
プリントを教室へ持って行ったあと
ナギは一人、トイレへと向かった。
個室に入り、その紙を開く。
そこには、るんの文字で、シンプルにこう書かれていた
『今日、ウチに来る?』
(終わり)
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