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エッチなSSや小説をまとめています。R-18。

小学生の女の子から一心不乱に手コキされたい

2016/05/27   ネタSS | コメント(0)   
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:41:31.26 ID:51mbDaG20
腕を組み、仁王立ちしたまま微動だにしない俺。そんな俺に向かって、嘆くように少女は叫ぶ。
「どうして射精しないのよおっ!」
彼女は服を脱ぎ、なけなしの色っぽさをさらけ出して一所懸命男根をシゴいているが、我がペニスは雄々しく脈動するだけで一向に射精する気配を見せない。
彼女は苛立って、ついに小さな口でしゃぶりつき、下品な水音をたてながらねぶる。
俺はというと、ただこそばゆいと感じるだけであり、まだまだ射精まで余裕があるのを胸の内で確認していた。
彼女が上目遣いで俺の表情を盗み見ているのに気づいたので、わざと不敵そうな顔をして鼻で笑ってやる。
彼女の頬が紅潮し、ブロウジョブがより一層激しさを増した。もはやフェラチオというよりはディープスロートだ。
たくましい俺のペニスが彼女の喉を押しつぶすたび、ぐっぽぐっぽとくぐもった音が響いていた。
「君のブロウジョブには美学が足りない」俺が心底つまらなさそうにつぶやいてやると、彼女は屈辱に目を見開いた。
「俺が本当のブロウジョブを見せてやる」そう言って俺は、ペニスにしゃぶりつく彼女の頭を乱暴に引きはがし、床にひっくり返した。
短く悲鳴を上げた彼女は敵意を孕んだ瞳で俺を睨むが、恨み言は何も言わなかった。
ふふん、と俺は見せつけるように鼻を鳴らした。その場で長座体前屈をするように、体を二つに折り曲げる。ペニスが目前に近づいた。
彼女は驚愕に目を見開いているようだった。
それもそうだろう、俺の上半身は非常になめらかな動きで折り曲がり、そして自らの口によって、自らのペニスをなぶりはじめたのだから!
俺は体の柔軟に自信があった。フレキシブルに動かすことのできる俺の腰と柔らかな上半身は、一朝一夕で手に入れた物ではない。
毎日毎日、飽きることもなく自らのペニスを口に含もうとして手に入れた柔軟性なのだ。
俺はどうしても自分の愛しい自分自身――すなわち息子に、口づけをしたくてたまらなかった。
俺はその情動だけで一心不乱に柔軟体操をこなし、半年経ったある日、ついにペニスへ口づけすることに成功したのだ。
あの時の悦びを思い起こすだけで、俺のペニスが快感で震え、巡るめく肉欲が体中を突き抜けるのを感じた。
雄臭ェデカマラが俺の口の中ではじけている。俺の上半身はブロウジョブ専用の器官になったように、激しく上下していた。
横目でチラリと少女をのぞき見ると、彼女は涙を流して俺の挙動を見つめていた。その涙が嫌悪感からくる物でないことは、恍惚とした表情で分かった。
その下半身に目をやると、股間の辺りで彼女の小さな手が舞い踊っており、ヴァギナを刺激してぐちゅぐちゅと淫猥な音を立てている。
ほほお。こいつ、芸術を理解するくらいのおつむは持っているらしい――。
俺は得意になって、セルフブロウジョブのスピードを上げた。むらむらとザーメンが尿道をせり上がってくるのを感じる。限界が近かった。
「むぐうっ、おぐうっ、ウォッ、ウォッ、ウァオッ!」
快感の電撃が体中を走り抜けると共に、口中へ粥のようなどろりとした苦い液体が流れ込んできた。栗の花のような匂いがわき起こる。俺は、音を立ててそれを飲み込む。
ふと少女の方を見ると、彼女も快感に小さな身を震わせて絶頂しているところだった。色っぽくはないが、獣欲をかき立てられる何かはある。
へえ、可愛いところもあるじゃねえか……。心中つぶやきながら、俺は少女に服を掛けてやった。
彼女はなおもうっとりとした目で俺を見つめている。一目見て分かった。恋をしている瞳だ。
だが俺は、追いすがる視線をぶつけてくる彼女を置いてひとり立ち去った。もう少し成長したら相手してやるよ、と心の中で微笑みながら……。





22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:54:49.64 ID:51mbDaG20
地方によっては降雪することもあるこの季節、
早朝仕事へ向かう最中に、黒タイツを穿いた女学生たちを多く見かけるようになった。

自転車に乗って、ペダルを漕ぐたびに黒タイツ越しの太ももを見せつける女学生。
バスに乗り遅れまいと、スカートを浮き上がらせながらたどたどしい足取りでバタバタと走る女学生。

これが通学区分された歩道に面するともなれば、目に映る女学生すべてが黒タイツという、
酒池肉林すら足下に及ばない、まさに桃源郷とでも形容すべき光景が広がっていることもままある。

指折り数えることなどもはや不可能なくらいの黒タイツは、いったいどこから来て、どこへ向かうのだろうか。
時折、そのような途方のない思考を巡らせることがある。
私が出勤中に見られる以上の黒タイツが、まだまだ日本中の学校に収まっているのかと思うと、
宇宙の深淵、あるいは深海の全容をこの目にしようとしているような、畏怖にも似た感情を覚えずにはいられない。

女学生たちが穿いている黒タイツは、学舎での学業が終わり、家に帰り着けば、脱ぎ捨てられてゴミ箱の中へ収められる。
黒タイツが収められるのがゴミ箱。これには少し違和感を覚えずにはいられない。
ゴミ箱は、女学生の黒タイツが入れられた瞬間、まさしく世の男の夢が詰まった、神聖なる箱となるのだ。
であるとすれば、それは「ゴミの箱」ではなく、「夢の箱」なのではないだろうか。

その論に行き着いた瞬間、私の頭の中で電撃にも似た衝撃が走った。
東京都江東区にある有名なゴミ集積所があるのは、たしか「夢の島」ではなかっただろうか。

私の頭の中で、すべてのピースが繋がりあっていくのを感じた。
男たちの夢、黒タイツ、ゴミ箱ではなく夢の箱、それらの集積地点が、夢の島……。

もはや単なる符合ではない……! そうこれは、天啓の域に達している!

私はこうしてはいられないとワーゲンのステアリングを軽やかに回し、空港へと向かう道路に進入した。
この先に、私の夢見る彼の地、夢の島がある。
朝日が眩しく、私を照らしている。私の未来は、この美しい地球のように、まばゆく光り輝いている。


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:02:30.42 ID:51mbDaG20
視界を阻害する物はなにもない。深夜の森林公園の中心で、呆けたように口を開き、ただ上だけを眺めて立ち尽くしていた。
端から端、漆黒からなる上下左右すべての視界のキャンパスに、ブラシで飛沫を飛ばしたかのような絵が広がっている。
飛沫はその一つ一つが微妙に違った色合いの光を放っており、ただの一つも同じものなどない。

星の光というのは、とどのつまり、発光している別の星――たとえば太陽だ――からぶつけられた光線を反射したものや、
核融合によって発光している星の光などが見えているだけなのだが、
個体それぞれが個性を持った星々が、到底数えることなどできないほど存在するのだと思うと、
カオスそのものを目の当たりにしているようで、寒さとは別の方向から寒気を感じて、背中が震えそうになってしまう。

彼女も僕が思い至ったような境地に達したのかどうかはわからないが、ふと落とした視界の端に、
ダウンジャケットを纏った彼女が寒そうに肩を抱いているのを見て、思わず彼女のほうへ左腕を回した。
彼女は一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、すぐに和らぎ、愛おしそうに僕の腕をぎゅっと抱擁する。

「ねえ、どれだけ、星の数はあるのでしょうね」

つぶやくように発された彼女の言葉に、実際に見えている星と星とのあいだの距離と実際の星間距離の縮尺が云々と考えたが、
彼女はそんな理屈っぽい答えを求めているのではないとすぐに思い至った僕は、自らの浅慮に苦笑を漏らしそうになる。
「そうだなあ……おちんぽミルクの数くらいかな」
「まあ、おちんぽミルクの……?」

彼女はごわごわの手袋を口元にあてて、ぱちくりとした視線を僕に向けた。
その一挙一動がたまらなく愛おしく思えて、僕は思わず、彼女の頭を引き寄せて、寒さで色を失いつつある唇を奪った。
彼女は短く喘いだだけで、抵抗しようとはせず、それどころか自ら唇を押し当ててくる。
急に感ぜられた粘膜の生々しい温かさに、この星空とは場違いな雰囲気を覚えながらも、
僕は彼女の髪を撫で、匂いを感じながら、なおも唇をむさぼり続けた。

人も皆、この星々のように、微妙に違った色合いを放つ、おちんぽミルクのような存在なのだ。
僕も彼女もおちんぽミルクで、そしてこの地球も、衛星も、恒星も、太陽も、死んだ星々も、みんなみんなおちんぽミルクなのだ。
僕たちはおちんぽミルクだけど、僕と彼女のように、わかり合うことも出来る。みんな、わかり合うことが出来るというのに、なぜ争いはやまないのだろう。
股ぐらにそそり立つ愚息の気配を感じながら、僕は世界に憤り、目の前の彼女を精一杯愛でた。これが、僕にできるすべてのことなのだ……。


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:19:04.53 ID:51mbDaG20
空を貫くがごとく吃立した巨大な肉棒が、日の光を受けてビル群の一角に広大な影を投げ込んでいた。
人々は我先にと蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い、
悲鳴と怒号がこだまするその様子に冷静の二文字はなく、街は混乱の極みに陥りつつあった。
肩をぶつけ逃げ走る人々の流れに逆らい、肉棒と相対するように空を見上げていた少女が、こぼすようにつぶやく。

「おちんちんが、おちんちんが泣いてる」

その言葉に感応するがごとく、巨大な肉棒がびくりと脈動した。
地が揺れ、空気が揺れ、悲鳴は増幅され、人々はさらに深く混乱へと誘われる。
どこかでビルが倒壊したのだろうか、少女が爆砕音のした方へ視線を向けると、積乱雲のような土煙の塊が膨らみ立ち昇っていた。
視線を肉棒へ戻すと、今にも張り裂けんばかりに怒張した肉棒、その丸く膨らんだ先に、玉のような我慢汁が浮かんでいた。

――まるで、宝石のよう。
少女は、この世の地獄ともいうべき忌まわしき状況において、こんな場違いな想像をした。
天を衝く巨大な肉棒の先にある、宝石のような玉。この非日常的な状況におけるからこそ、
少女は混乱の渦中にある美しいものに気がついたのかもしれない。
今この場所この状況において、少女と肉棒は確かに美しかった。

肉棒がひときわ大きく反り立った。
瞬間、肉棒の先から練乳を思い出させる白濁液がほとばしり、太陽を覆い隠した。
まるで津波が襲来したかのようだった。あるいは神話で語られるノアの方舟の洪水か。
ごぷりごぷりと音を立てて街と人々を飲み込んでいく白濁液は、世界の終焉を思わせるほど、絶望的で創造的であった。
その光景を見つめ続けていた少女が最期に見た光景は、追い寄せる白濁液の波の後ろで、
先ほどとは打って変わってしなびれた肉棒の姿だった。
視界に真っ白なとばりが落ちて、やがては思考も痛いほどの白さに飲み込まれていく。
ただ、絶望も希望も、少女の中には存在しなかった。

その日、世界は終焉した。


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:38:16.29 ID:51mbDaG20
日本の神話では補い合う形でイザナミのマンコに挿入したらしいが、初めて勃起した自分のチンコを見たイザナギは、きっと「なんだこれ?」と触ってみたはず。
初めて体感した奇妙な感覚に思わずビクンと反応してしまうイザナギ。その感触を確かめるように、イザナギの手の動きはだんだんと速くなっていく。
なにこれぇ、きもちいいよぉ/// と、思わず感じてしまう彼の手の動きは次第に激しさを増していき、その勢いは衰えることがない。
あっ、でちゃう、おしっこでちゃうよぉおおおおお/// と叫んだイザナギのチンコから、粥を連想させるような白濁した液体がほとばしり、太陽を覆い隠した。
まるで津波が来襲したかのようだった。白き濁流は生物を分け隔てなくすべて飲み込み、彼らの文明の跡すら一つ残らず根こそぎ奪い去った。
やがて世界全土をも飲み込んだ白き洪水の上には、いまにも飲み込まれてしまいそうな姿を晒しながら、ゆらゆらと揺れる例外の姿もあった。
その箱船の中にいた、多種多様の生物たちはみな一様に不安げな表情を、窓すらない鬱屈とした空間内に晒し、ただひたすら精液が引くのを待っていた。
そう、これが神話にある「ノアの方舟」の真相なのである……。
イザナギの凶行をその前に感じ取ったノアたちの信仰する神は、敬虔なる信徒であるノアへ、箱船を建造し、全種の生物をその中へ入れることを提案していたのだ。

「おお、神よ」

まさしくこの世の終焉とも呼べうる景色となった地上を思ったノアは、彼の神へ、祈りを捧げた。
彼らの戦いはこれからなのである。選ばれた地上の民である彼らは、これから過酷な生存競争を繰り広げなくてはならない。
しかし、前途多難なる道も、希望を持って生きていける力を、生物たちはあわせもっている。
きっと彼らは、見事なる復興を成し遂げるであろう……。


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:57:01.79 ID:51mbDaG20
『「女児パンツ」私はそれを手に入れたくて、夏の熱気に絆された』

それは今、私が昔使っていた体育服と共にカムフラージュとしてクッキー缶の中へ詰められている。
身の細るような思いをしたときや、悶々としたとき、人生の責め苦に遭ったとき、
その辛辣さに心が挫折しそうになったとき、私はこれを開けてそれを取り出すのだ。
取り出したるそれを、両の手の親指と人差し指で優しく、繊細につまみ、高々と上方に掲げる。
西日を浴びた神聖なる白きデルタは、私の不徳すべてを認め赦してくれるような慈悲に溢れている。
とっぷりと日の暮れた夕陽の中で、こみ上げてくるものを感じた私は、はらりはらりと涙を流した。
二筋の流れは、やがて頬を伝い顎部で合流し、新たなる生命を産み出すが如く落ちていった。

私は赦された、赦されたのだ……。

最大級の謝辞を胸に抱き、再びクッキーの缶に体育服と混ぜて密封する。
この奇妙な儀式を私が執り行いだしたのはいつのことだっただろうか。
まず思い出すのは、耳障りな蝉の声、樹木の青さを映し出す眩しい木漏れ日、
抜けるような青空を駆け巡る入道雲、夏疾風に揺れる白き夏の妖精。
私を、人として忌まれるべき存在である私を、彼女は優しさとの葛藤の果てに赦したのだ。
あのときの情景を、いまでも昨日のことのように思い出すことが出来る。
私が彼女のことを想う限り、この不可思議な信仰は私の手によって存続されるだろう。
そして私の脳裏に浮かぶのだ。あの暑い夏の日の出来事が――。


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:57:45.93 ID:51mbDaG20
ぎらつく太陽が、地上を這いつくばる人間を押しつぶすがごとく、熱気を孕んだ光線を発していた。
その下では、マグマのようにごつごつとしたアスファルトが、同じくじりじりと熱の手を伸ばしている。
一つ、ぽとりと頬から汗が垂れ、黒光りするアスファルトの上に落ちた。
地上に触れるか否かの一瞬で蒸発した汗は、すぐに消え去った白い蒸気以外の何ものも残さず、
蜃気楼の一部としてか、はたまた逃げ水の一部としてか、いずこかの夢幻の果てに雲散霧消した。

熱い、まるで熱気が質量を持ってのしかかっているようだ……。

目深にかぶった野球帽の内側は、既に汗でぐしょぐしょになっている。
上半身から溢れる汗は赤いTシャツを黒く滲ませ、
下半身から噴き出す汗は、ジーパンを浸透して座り込んでいるキャンプチェアをも滲ませている。
ふと額からたれてくる汗の気配に気づいた私は、首にかけたタオルでそれを拭った。

私はいま、閑静とは言い難い、通学路指定された住宅街で、
ちょうど三叉路の合流点近くをキャンプチェアで陣取り、道路交通量調査のまねごとをしている。
目の前で、沈殿した熱を攪拌するように青い軽自動車が通り過ぎた。

所詮これはまねごと……。

そう分かってはいたが、自他共に生真面目を称される私は、
数取器のでっぱりを押して、また一つカウントに数字を足す親指を止めることは出来なかった。

道路の右奥の方で、はじける果実のように華やいだ声を上げて
学舎へと登校している女子中学生たちの姿が、蜃気楼と混ざって見える。
こうも熱いというのに、若さというのはいい気なものだ……。
しかし、その「若さ」になにかを取り戻すことが出来ないような苦い感覚を覚えた私は、
きらきらとそれを振りまき目の前を通り過ぎていく彼女たちをつばで隠した上目遣いで見送り、
黒い噴煙をまき散らしながら駆け抜けていったトラックを視認して、また一つカウントを付け足した。


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:58:31.77 ID:51mbDaG20
今年一番を記録したとかいう猛暑のせいなのか、はたまた脳が沸いているのか、
私のちっぽけな頭中は、ぐつぐつと煮えたぎるような雑念に支配されつつあった。
これではいけない。私は両の手で頬を二度たたき、視線を真正面に据えた。
私と向かい合う反対側の路側帯沿いには、
ほとんど役割を果たしていないような低い柵越しに小さな一軒家が鎮座しており、
そしてその低い柵のすぐ近くには、このような炎天下にまねごとという名の苦行を犯してまで、
読んで字の如く喉から手が出るほど手に入れたかったものがぶら下がっている。

不意に、溜まり溜まった熱をすべて押し流すような夏疾風が吹き荒れた。
目深にかぶった帽子を風に攫われないように気を遣い、右手で頭を押さえながらも、
体中に張り付いた汗が気化していくのを感じて、清々しい気分に浸っていた。
頭上を見上げれば、抜けるような青空をベースに、肥え太った積乱雲がそびえ立っている。
蝉たちの大合唱が、耳障りながらも夏のように熱い心をかき立ててくれる。
視線を目の前に落とすと、清々しい思いはそのままに、雑念のみが熱意へと変換するのを感じた。

私の視界の奥では、踊るようにひらりひらりと揺れている、まぶしい白色の女児パンツがあった。


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:59:18.54 ID:51mbDaG20
そのことを思いついたのは、休日ともなればごろ寝で読書かゲームと相場が決まっている私が、
健康志向だとかいう気恥ずかしくなるようなフレーズに踊らされて、
珍しくも初夏の散歩へとしゃれ込みに出かけた折りのことだった。

私がその日の散歩コースとして定めたのは、家から歩いて30分ほどの近場にある遊水池公園である。
遊水池公園は、その名の通り日光を浴びて青々と繁茂している草木や、プリズムのように光を反射している河川が目を惹く自然豊かな場所であり、
私と同じくジョギングに勤しむ諸兄や、水遊びではじけた声を上げる児童達、グラウンドでスポーツに励む学生達などでまばらに賑わっていた。

誰もが爽やかな気分になれるような場所にいながら、普段からインドア思考だった私は、ものの数十分の歩きで根を上げはじめていた。
もともと太りにくい体質ではある私だが、日頃の運動不足が祟って体力が激減しているのを
数日前に繰り広げたバスとの追いかけっこ後の筋肉痛で身に沁みるほど感じており、
この際ある程度負荷をかけないと意味などあるまい、と心に決めてジョギングに精を出していたのだ。

しかし気合いだけで劇的に体力が上がるという現実味のない事象など、実際には起こらないというのが世の常である。
当然のこと、気だけが先走って脚を動かしても体力がそれに付いてくるなどということはなく、
「息を弾ませる」という表現を行き過ぎた這々の体でフラフラと歩いているのが現在の私の姿であった。

ご覧の通り、虚弱な体を以て成る太陽に顔向けできないような男が私の姿であるが、
真夏よりはまだ当てつけがましくない、夏の始まりのおだやかな日光には、
太陽が生命の根源と称されるが由縁の神々しさを感じ取ることが出来る。

久々のまともな運動に多少の気勢をそがれつつも、道中にはたしかな清々しさを認識することができた。

疲労を覚えつつも、朗らかな気分を身に刻み込んだまま、私は帰路へ向かった。


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:00:04.40 ID:51mbDaG20
家路についてから数分後、私は、中学校にほど近い三叉路に面している住宅街を通り過ぎようとしていた。
この辺りまで来れば背の高い建物が増えてくるので、直射日光を避けて歩くことができる。
住宅街には、汗ばんだ体を清々しさへと変換してくれる涼しげな風が吹いており、
また、呼気が荒れる程度の体への負荷は言いしれようもないほど心地よく感じられた。
たまには体を動かしてみるのも、存外いいものだな……。
運動に対する認識を改めつつあったその時だった。特に思うところもなく視線をそこらの家屋に走らせていると、
とんでもないものを我が目に留めて、私は釘付けされたように動けなくなった。

音が消えた。がなり立てるように求愛の声を発していた蝉の声がフェードアウトし、
周囲に聞こえそうなほど激しく胸郭を叩いている心臓の鼓動のみが体中に響いていた。
私の目の前で、初夏が真夏へと変貌を遂げたかのようだった。
家屋から身を乗り出して照りつける太陽がじりじりと後頭部を燃やしている。
うだるような暑さが急に現実味を帯びて突き刺さるように感じられ、ぼうっと脳内が霞んでいった。
額から落ちる汗が頬を伝い顎へと流れ、ぽつり、としずくを垂らした。
体の内奥からあふれ出てくる熱狂を抑えるのは、ずいぶんと気概が要った。
今すぐにでも手を伸ばしてそれを手に入れたかった。

そう、それは……夏に絆された私のみが見つけることの出来る、夏の妖精のような。


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:00:51.66 ID:51mbDaG20
不意に、大型トラックが地響きを鳴らしながら私の背後を通り過ぎ、辺りの空気を揺らした。
その一瞬で周囲に音が甦り、霞の残滓すら残さず私の意識は思考を取り戻す。
再び蝉たちががなり立てている中、特にあてもなく視線を右へ左へと走らせた私は、
ようやくそこで自分が散歩帰りの道中であったことを思い出した。

生唾を飲み下しつつ目線を正面へと戻すと、そこには変わらず風に揺れている「夏の妖精」の姿があった。
つい手を伸ばしそうになる衝動をこらえ、高鳴る胸を抑えながら、私はその姿を網膜に焼き付ける。
それは綿をベースとした白地の下着で、中心上方に赤い小さなリボンが鎮座しており、ふっくらとしたクロッチ部分をデルタの一角に備えている。
全体的にもこもことした質感をしており、一目見て「女児用のものだ」と理解できた

目を放したくてもそれは叶わなかった。

高鳴る胸が、夏の妖精から目を放すことを拒絶した。

熱病に冒されたように、私はそれに取り付かれてしまった。

そのことしか考えられなくなった。

この感情はなんだろう。そう思い至ったとき、私の貧弱なボキャブラリーはただ一つの言葉をたたき出した。
それは「恋」である、と。恋しくて、愛しくて、胸がきりきりと締め付けられる。これが、これが「恋」であると。
美しい女性に目を奪われるという経験こそあっても、こうまで激した感情を覚えたのは初めてだった。
白い女児パンツは鎖の如く私の体をそこに縛り付け、金縛りにあったかのように動けなくしている。
しかし、曲がり角の先から女性複数人の話し声が聞こえて、私は夏の妖精の呪縛から逃れた。
干された女児用下着を食い入るように見つめている姿を見とがめられれば、怪しまれるどころか通報されることだってあり得る。
これ幸いとばかりに目を逸らし歩き出す。しかし私の網膜には神々しいまでに真っ白な女児パンツの姿が焼き付いており、つい足を止めて脳裏に映り込んだ光景に見入りそうになってしまう。
焼き付いた映像にときどき足を止められながら、私はそれでも家路へ向かって歩を進め続けた。
どうすれば、怪しまれずにあの女児パンツを見守ることができるか。その方法を考えながら……。


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:01:39.03 ID:51mbDaG20
結果、私が思いついたのは交通量調査の「まねごと」であった。女児パンツを干している民家の向かいに簡易椅子を置き、交通量調査のふりをするのだ。
偶然にも私の決心と初夏の終わりが重なってしまったため炎天下に晒されるハメになってしまったが、いかにもバイトで雇われた風に数取機でカウントする私を疑う者はいなかった。
のしかかってくる猛暑以外には気を払う必要もなく、私は思うがままに干された女児パンツを視界に収めることが可能となったのだ。私のまねごとは、今日で二日目になる。
しばらく観察していて分かったことがいくつかあった。まず一つは、私が一角を陣取っているこの道路が、通学路指定されているために朝夕の人通りが多いこと、
二つ目に、向かいにある民家は親子三人の核家族であること、そして両親が共働きらしく昼間はほとんど誰もいないこと、
そして最後に、私が見守っている下着の主が――とても可愛らしい女児であることだ。
彼女はこの場所からほど近い小学校に通う女子小学生で、三つ編みを施したツインテールが特徴的な女の子だった。
私が彼女を見かけたのは「まねごと」を開始した昨日の早朝で、「いってきまーす!」と元気よく家から飛び出してきたのが最初だ。
三年生くらいだろうか――この年頃の少女には珍しく彼女はスレンダーな体型をしており、吊りスカートから伸びるほっそりとした脚がとても魅力的だった。
家から飛び出した彼女はスカートと三つ編みのツインテールをひるがえし、ちょうど近くを通りかかっていた同級生らしき女児に向かって走っていった。
無事同級生と合流した彼女ははじけんばかりの笑顔を振りまき、「おはよー」とハイタッチする。
目元立ちのはっきりした愛嬌のある娘だとは思っていたが、笑顔になるとより一層可愛らしい。
なによりもまず、目を奪われた女児下着の主が可憐な少女であることを私は素直に喜びと感じた。
今目の前にぶら下がっている女児パンツ――彼女は白と薄ピンクの下着を好むようだ――が、美しいほっそりとした脚の付け根、すなわち股間部分を覆い隠しているのである。
想像するだけで股ぐらがいきり立ってくるようだった。この布が、彼女の未成熟で大切な部分を守っている。あの布を手に取り、思い切り匂いをかぐことができたなら――。


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:02:25.64 ID:51mbDaG20
この「まねごと」を開始してからもう二日経つが、私の脳裏から「彼女の女児下着を奪い去りたい」という欲望が消え去ることはない。
欲望に突き動かされるたびに手を伸ばしかけ、いやいやそれはだめだと良心の呵責が行動をいさめるのだ。
交通量調査のまねごとをしながら、常に私は葛藤していた。
この辺りは、前述したとおり朝夕以外の人通りが少ない。少女は学校へ、両親は働きに出るので昼はガラ空き、そしてこの下着は……もはや用をなしていない低い柵によって守られているのだ。
私が葛藤する理由の一端を、この低い柵が担っていたといっても過言ではない。
それほど身長の高くない私でも手を伸ばせば簡単に超えることのできるくらいの柵であり、また、洗濯物が干されている場所もその柵に近接していたのだ。
この家のベランダは極端に狭く、日の当たるところで洗濯物を干そうとするのならば、自然とそうなってしまうのだろう。
下着泥棒にあったりしないのだろうか、と私は自分のことを棚に上げて考えたが、よく見れば成人女性用の下着や高価そうな衣服は干されていないことに気づいた。おそらく別のところで干されているのだろう。
やっかいなベランダに頭を悩ませる家族の姿が思い浮かぶ。母親が嘆息する。(仕方ない、高い服と私の下着以外はここに干すとしよう。誰も盗ったりはしないだろう……)。
良心が胸をちくりと刺す気配がした。私の想像通りならば、母親はロリコンの存在など鑑みておらず、なんの心配もなしに娘の下着を干しているのである。
それは、母親が"ぶっそうになりつつある世間"というものをそれでも信頼しているということの証明である。そしてなにより、下着を盗まれたのだと分かれば、あの娘はどんな顔をするだろうか……。
少女は不安に駆られる。小学三年生――まだまだ世の中の汚れに染まっていない彼女は、「ロリコン」という少女を食い物にする存在を間接的に知り、当惑する。
その心細さたるや、どんな気持ちなのだろう。姿を現さないロリコンという影を周りの大人に投影し、否応もなく警戒し、ただそれだけで心を削られてしまうのだ。
もしも、もしもそのロリコンが人通りの少ない道で襲ってきたりなどしたら?
大人の力に敵うわけがない彼女は、野獣のように欲望を露わにしたロリコンに、文字通り「食い物」にされてしまうのだ。
そんな不安が、彼女の人生に薄暗い影を射し込ませる。日常というものが、少しだけいやになってしまう。私が彼女の下着を盗めば、そういう思いをさせる可能性があるのだ。


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:03:12.57 ID:51mbDaG20
しかし――。
私はそれでも逡巡した。夏の妖精というものは、それでも私の心を鷲づかみにして放そうとはしなかった。
欲望と良心の葛藤。欲望が突出し私の腕を動かそうとすれば、すぐさま良心が出張ってきてその行動を抑制する。
そんなことが幾度も幾度も繰り返され、私の精神はここ二日間ですっかり摩耗しきっていた。それはつまり、良心側の兵糧が底を尽きつつあることを意味する。
欲望をいさめる良心の力は、時が経つにつれて弱々しくなっていった。気がつけば、立ち上がって柵に向かって手を伸ばしていることもあった。
酷暑という状況も欲望を後押ししていた。暑さで思考が鈍って力を弱めるのは、強い理性を必要とする良心の方だけなのだ。もはや限界が近づきつつあった。
所詮は下着一枚。1000円もかからないであろう、バックプリントも入っていない綿100%の下着だ。こんなものがなくなったくらいでは、誰も損しないんじゃないのか?
私は立ち上がった。現在時刻は昼一時過ぎ。太陽は天高く直上で輝いており、下調べの通り人の往来はほとんどない。周囲の目を気にする必要は全くなかった。
欲望に負けて立ち上がった私ではあったが、何時間も座っていたせいか足取りはおぼつかず、太陽の下に現れた幽鬼のごとく揺らいでしまう。
たどたどしい足運びではあるが、それでも少しずつ向かいの柵へと近づいていく。干されて揺れている女児パンツが徐々に近づく。
その時だった。私の脳裏に少女の笑顔が浮かび、良心が最後の抵抗とばかりに胸を締め付けるのを感じた。
すると矢継ぎ早に欲望が耳の奥でささやく。考えすぎさ。しょせんは小さな女の子、パンツ一枚なくなったくらいで落ち込みやしねえよ……。
理性を失った私は欲望に押された。胸の痛みを感じつつも、下着に伸ばした手を止めることができなかった。
もう少し、もう少しで私の手は彼女の下着に到達する。どんな感触だろうか。彼女の秘所とその周りを包み込む布は、どんな手触りなのだろうか。
私はついに、夏の妖精を掴んだ。それはとてもやわらかな肌触りで、はき慣れているのだろう、多少毛羽だった感触が言いしれようもなく心地よい。
ああ、ついに俺は手に入れてしまった。これは俺のものだ。ここまで恋い焦がれた俺だけのものだ。誰にも渡すものか……!
洗濯ばさみの束縛から下着を解放しつつ、私はポケットの中にそれをしまおうとジーパンをまさぐった。その時だった。
「お兄さん、なにしてるの?」
周囲の時間が止まった。音がなくなった。感触がなくなった。うだるほどだった酷暑すら、消え失せてしまったかのようだった。
垂れてきた汗が目に滲んで、私はようやく下に目線を向けることができた。はたして、そこには不審げな表情で私を見つめる少女の姿があった。
どうして。疑問が浮かんでくる。どうしてこの時間に、彼女が家に帰ってこれるのだ。
唾を飲み込みつつ、私は彼女の姿を観察した。彼女はなぜか、学校指定の制服ではなく体操服を身に纏っていた。そしてその背中には、彼女の身体に合った小さなリュックサックが鎮座している。
遠足……。私は、今朝の彼女の姿を見てどうしてそれが思い浮かばなかったのか自分を責めたい気持ちでいっぱいになった。
体操服、リュックサックとくれば、遠足以外になにがあろうか。そして遠足は、だいたい昼過ぎで現地解散するのが常である。おそらく、遠足があったのは遊水池公園であろう。
体が動かなくなるほどの後悔でいっぱいだった。欲望に身をまかせて、理性をないがしろにした結果がこのざまだ。
悪いことはできないなと内心つぶやきながら、それでも私のちっぽけな脳みそは打開策を講じるべくフル回転していた。
「あ、う、こ、これは」しどろもどろになってろれつが回らない私を、彼女はきょとんとした表情で見つめていた。
不思議そうな顔をしている彼女からは、私に対する警戒心は感じられない。もしや、まだ私がしたことに気づいていないのでは?
フルスロットルで回転していた私の頭脳が、一つの選択肢をたたき出す。
今すぐ逃げ出せば、あるいは……。


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:03:58.88 ID:51mbDaG20
「! お兄さん、それあたしのパンツ……」
終わった。提示された選択肢が、短くも無残な生涯を終えてしまった。犯行が完全にばれてしまったのだ。
それでも逃げ出すべきだ。まだ小学生といえど、不審者への対処法は学校でならっているはず。まだ印象が薄い内に、脱兎の如く逃げ出すのだ。早く、早く!
しかし私の脚はただ恐怖にわななくばかりで、踵を返し地面を蹴る力すら発揮することができなかった。
すくんだ足を動かせず、棒を飲み込んだように固まってしまった私を睨め付け、少女はゆっくりと歩を縮めてくる。
目の前まで歩み寄ってきた少女は、腰に手を当てて私の右手を凝視した。すなわちその手には、少女の女児パンツがしっかと握られている。

「返して。あたしのパンツ」
少女は憮然とした表情で小さな右手を突き出した。私はというと、自分自身への失望で意気消沈しつつあった。
彼女のなんと堂々としていることか。犯行が露呈したことでずいぶんと気が沈んでいたが、うろたえもせずむしろ私を諭そうとしているような雰囲気の彼女を前にして、一層気力を失うのを感じた。
10は年が離れていよう少女がこんなにもしっかりしているというのに、成人した私はというと理性を失い女児下着を盗むために情けない姿をさらしている。
なんと、なんと私のあさましいことだろうか。私を構成するいままでの軌跡が、私の歩んできた今までの人生が、すべて色あせて意味のない物へ朽ちていく気がした。
刺さるような少女の目線と触手のようにまとわりつく酷暑が、一体となって私の行動を非難しているようだ。目頭がカッと熱くなってくる。

「ごめんなさい……」
深々と頭を垂れるというよりは、うなだれて倒れ込む感覚に近かった。ぎらぎらと日光を反射するアスファルトが目の前にある。私の体は震えていた。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
胸からくるチクリとした痛みが全身に伝播している。思わず嗚咽するほど苦しい。鼻の奥がツンと痛み、涙腺が緩むのを感じた。
「ごめんなさい! ごめんなさい……!」
涙がこぼれ落ちる気配がして、視界が滲む。ひとたび流れだした涙と鼻水は一向に止まる気配を見せず、苦しくなった私は、ついに熱されたアスファルトの上に崩れ落ちた。
「ごべんばざい……」
太陽光をめいっぱい受けたアスファルトは私の体を溶かしかねないほど熱かったが、それに耐えて無理矢理土下座の体勢をとる。
精一杯の謝罪のつもりだった。私は真に反省していた。下着を盗まれた少女が傷つくことをしっかり想像していながら、それでも理性に負けて少女の下着を盗んだ。
被害者が誰で、それが少女の人生に暗い影を落としかねないことを理解していながら、私は行動をやめられなかったのだ。
葛藤による精神の摩耗も、酷暑による思考の鈍化も、結果としてみればただの言い訳にすぎない。
灼熱のようなアスファルトに、額を押しつける。幾本もの針で刺されたように痛かったが、私はそれでも固く熱い地面に頭をこすり続けた。


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:04:45.03 ID:51mbDaG20
痛々しい沈黙が流れている。いまだ地面に頭を押しつけている私をよそに、沈黙を破ったのは彼女の方だった。
「お兄さん」
少女の声は平坦だった。しかし語尾が震えていた。感情を押し殺している、といった風なしゃべり方だ。
私は頭を上げる。涙の膜で滲んでいる彼女の表情は、逆光になってうまく読み取れない。私に突き出した手は既に下ろされていた。

「そんなに……そんなに私のパンツが欲しかったの?」
質問の意図が分からなかったが、私は鼻水をすすりながら首肯した。今でこそ反省してはいるが、私が彼女の下着に心を奪われてしまったのは事実だ。盗もうと思った過程は嘘ではない。
私が肯定したのを見て、彼女はかすかに身じろぎした。ふたたび沈黙の幕が下りる。彼女は迷っているようだったが、私には彼女が何を迷っているのか理解できなかった。
そこまできて、私はいまだ彼女の下着を握りしめていることに気づき、多少のばつの悪さを感じながらその手を彼女に伸ばす。

「あの、すいませんでした……」
あまりの気まずさに私はうつむいたが、しばらく待っても私の手から彼女の下着は離れなかった。再び顔を上げる。彼女は、ただ私を見つめているだけだった。

「そのパンツ……あげる」
「えっ」
あっけにとられる私の横を足早にすり抜け、彼女は自宅のドアに鍵を射し込んだ。思わず彼女に追いすがる。

「ちょ、ちょっと待ってください。私はこれを返そうと……」
「こないで!」
彼女の突き放した叫び声に、私は思わずたたらを踏んだ。彼女の背中は震えていた。それが何を意味しているのか分からない。ただうろたえるしかなかった。
私の目の前で扉が開き、そして乱暴に閉ざされ、すぐさま施錠される。一瞬だけ見えた彼女の双眸には、微かに涙が浮かんでいた気がする。
会話の一切が拒絶され、ただ一人外に残された私は、奇妙な心細さを感じてしばし立ち尽くした。
どうして彼女は返却しようとした下着を受け取らなかったのか。私のような変質者に握られた下着というのが気持ち悪かったのだろうか。
……いや、違うだろう。私は頭の中で否定した。何に使われるのか分からないというのに、変質者へ下着をプレゼントするという方が気持ち悪いだろう。ならば、なぜ?
いくら頭を悩ませても、彼女の行動を理解することはできなかった。私は彼女から取り残されたのだ。謝ることも、理解することも許されなかった。
私の謝罪に、彼女は一方的な拒絶を突きつけた。だからこそ心細く思えたのだ。そして残ったのは、愚かな私と彼女の下着だけだ。
しばしの間喪失感を弄んで立ち尽くしていた私は、やがて周囲を取り巻く猛烈な暑さを思い出し、一息に体力を奪われていくのを感じた。
彼女の拒絶に固い決意を感じていた私は、物干しに下着を返すこともできず、ポケットに突っ込んでその場から離れた。
抜けるような青空と立ち上る入道雲を背景に、蝉たちの大合唱が響いている――。


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:05:47.17 ID:51mbDaG20
今にして思えば、迷っていたのは私ではなく、彼女の方こそ迷い、苦しんでいたのではないのだろうか。
クッキー缶に隠された彼女の下着を取り出し、私はそれを高々と掲げた。顔に押しつけて肺いっぱいに吸い込むと、彼女の匂いがする、気がする。
あの日、彼女は下着を返そうとした私に「あげる」といってそれ以上の会話を拒絶した。
私は彼女の行動を理解できなかった。彼女の拒絶が私への嫌悪から来る拒絶だったのならば、下着を回収しない理由がないからだ。
あの日以来、私は彼女の心中を理解しようと頭を悩ませていた。その結果私がたどり着いた結論は、こうだ。
彼女は葛藤していた。『不審者を咎めたいという思いと、涙を流し土下座までする哀れな男を赦し少しでも勇気づけたいという優しい思いで、揺れ動いていた』。
そう思い至ったとき、私はまたもはらはらと涙を流していた。もしもこの仮説が真ならば、彼女の行動すべてに納得がいくのだ。
彼女ははじめ私を咎めるつもりだった。しかし涙を流して謝罪する私を目にしたとき、その思いが揺らいでしまったのだ。
彼女は尋ねる。「そんなに私のパンツが欲しかったの?」目の前の男は首肯する。その目を赤く腫らせながら。
彼女の中に、男へ哀れみをかけたいという心情がわき上がってくる。しかし目の前の男は、まだ幼い私の下着なんかをほしがる変質者。正直なところ、気味が悪い。
すると男は下着を握った手を伸ばし、返そうとする意思を見せた。彼女の心境は、その時点で固まった。男の悔恨が目に見えたのだ。
彼女は男へ慈悲をかけた。涙を流し、灼けたアスファルトの上で土下座するほど欲しがっていた下着を、男に渡すことにしたのだ。
しかしそう決心しても、男に対する嫌悪感がすべて消え去るわけではない。本当は下着を上げるなんていやだ。だけど、哀れな男のために慈悲をかけたいというのも本当だ。
彼女は悩んだ。苦しんだ。自然と、その目には涙が浮かんでいた。追いすがる男に見られないように、「こないで!」と力強く叫んだ。
背後で男が立ち尽くしているのが分かった。私は扉を開け、乱暴にそれを閉める。鍵を閉めるとその場に崩れ落ちて、彼女はついに嗚咽した……。


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:06:33.28 ID:51mbDaG20
私が彼女の下着を手にしている。これはつまり、彼女が私へ優しさをかけた結果なのだ。
本当は下着を変質者に渡すなんていやなのに、それでも彼女は彼女自身の優しさを無視することができず、つい慈悲を与えてしまったのだ。
そのことを悟ったときには、彼女から下着をもらってからすでに三日が経過していた。
私はすぐに外出し、彼女の家へ向かった。もちろん、彼女の下着を返却するためにだ。
彼女が悩み苦しんだ末に私へ下着を渡したというのなら、その苦しみを取り除くためにはこの下着を返さなければならない。
どれだけ繕おうが滑稽なのには変わらないが、私は本当に反省していたのだ。私へ慈悲をかけた末に彼女が苦しんでいるというのなら、
手に入れた下着を失うことになるとしても、彼女の苦痛を取り除きたいと心の底から思っていた。
私が誠心誠意謝罪し、感謝し、下着を返却すれば、『本当はいやなのに下着を渡した』という彼女を苦しめる一因がなくなる。
彼女が涙を流す理由など、どこにもないのだ。私が咎められるだけで、彼女の苦しみはなくなるのだ。

しかしそれは叶わなかった。私が再び彼女の家に訪れたとき、その家には誰もいなかった。
近所の人に尋ねた限りでは、どうも彼女は別の県へ引っ越したらしかった。
となると、私に下着を渡した日には既に、引っ越しの準備をしていたことになる。
私は心底気が滅入り、その場に卒倒しそうになった。私は彼女の苦しみを取り除くことができなかった。
彼女の心情をもっと早く理解することができたならば、ぎりぎりで間に合うこともあっただろうに。
私はうなだれて、はらはらと涙を流した。なによりも、最後までもやもやを抱えたままこの地を出発した彼女のことを思うと、涙が止まらなかった。

彼女の下着は、今でも私が所持している。だがしかし勘違いはしないで欲しい。私は彼女の下着で性欲を満たしたことなどないのだ。
私が彼女の下着を取り出すのは、身の細るような思いをしたときや、悶々としたとき、人生の責め苦に遭ったとき、その辛辣さに心が挫折しそうになったときだけだ。
彼女の下着を見ていると、自然と力が湧いてくるのだ。私を、変質者であるこの私を赦した彼女のことを思い出すと、何が起ころうががんばれる気がするのだ。
どこか遠い場所で生きている彼女のことを想い、私は今日も願いを馳せる。
いつか彼女と再び相まみえることがあるのならば、そのときこそこの下着を返したい。そして心から感謝の言葉を伝えたい。
私は、あなたのお陰でここまで生きて来れました、と――。


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:07:22.72 ID:51mbDaG20
予想以上に長かった
正直他のに比べて拙い方だと思う


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 23:44:18.46 ID:51mbDaG20
そうさ俺はミルクハンターオナホさ!
ひゃっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!日付変わる前に書いてやったぜ!
じゃあな!!!!!!


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/08(水) 00:16:46.15 ID:uEah3/Sl0
こんなすばらしいスレに立ち会えたことを誇りに思う


124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/08(水) 07:45:56.52 ID:ESk8Yih90
久しぶりに笑った


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/08(水) 11:44:05.12 ID:kYDKMX7XO
なんか感動した、悔しいビクンビクン


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:42:37.86 ID:jqcDpSBjO
おまわりさんこのスレです


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:43:10.35 ID:593HpmYZO
通報した


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:45:18.47 ID:EIlZiQF80
狂ってる。

だが認める。


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:44:30.86 ID:lh5MxwhhO
ワロタ


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:46:31.24 ID:xGrdB7nHO
親が見たら泣くな


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 22:20:13.31 ID:Mlb7ZZJqO
やばいな…読み返してから勃起しっぱなしだ


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/12/07(火) 21:47:29.86 ID:dbp/krSxO
天才だ・・・


元スレ:http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1291725691/

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